多摩1キロフェス2015

多摩1キロフェス2015

2015.9.19[土]・20[日]
多摩センター駅〜多摩中央公園1キロのエリア

柴幸男(ままごと)×ウォーリー木下(多摩1キロフェス/フェスティバルディレクター)
「枠にとらわれない演劇を、水上ステージで」

自然の風と水しぶきを感じながら、夕暮れの空をバックに旬の演劇を楽しむ——。
多摩1キロフェスの魅力を堪能できるプログラムが、「きらめきの池」で行われる野外劇だ。
今年は、人気劇団「ままごと」が、公募キャストとともに新作で挑む。
原作が「憲法」という水上野外劇とはいったい? スイッチ総研って何?
ままごと主宰の柴幸男さんと、1キロフェスディレクター・ウォーリー木下さんのスペシャル対談をお届けします!

柴幸男 Yukio Shiba

1982年、愛知県生まれ。日大芸術学部卒業後、09年に「ままごと」を旗揚げ。10年には『わが星』で岸田國士戯曲賞を受賞。近年は日本各地で〝その時、その場所で、その人たちとしかできない演劇〟を創作。7月には、小豆島にて『わが星』を上演する。8月は、脚本を手がけたKUNIO12『TATAMI』(KAAT神奈川芸術劇場)の公演も。

ウォーリー木下 Worry kinoshita

1971年、東京都生まれ。93年、神戸大学在学中に「劇団☆世界一団」を結成。現在は「sunday」の代表として全作品の作・演出を担当。また、ノンバーバル(無言劇)パフォーマンス集団「THE ORIGINAL TEMPO」をプロデュースし、海外でも評価を得る。11月には演出を手がけるハイパープロジェクション演劇『ハイキュ−!!』を上演予定。

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—そもそも、お二人の出会いは?

ウォーリー 最初に「ままごと」を観たのは、大阪の精華小劇場だったかな。

 2010年の『あゆみ』ですね。

ウォーリー あれは衝撃的でした。どんな衝撃かというと、それを語るだけで、この対談の文字数が埋まっちゃうくらいの衝撃です(笑)。

 あはは(笑)。

ウォーリー とにかく、演劇という一般的なカテゴリーからは、はみ出ている作品だったんですよ。音楽と言っても、現代美術と言ってもいいかもしれない。少なくとも、僕らが思っている演劇ではなかった。それからほかの作品も観に行くようになったんですけど、どの作品でも、柴くんは1個、発明をしている。その発明を使って逆説的に、きちんと演劇にしているんですね。それで僕が一方的にファンになって、何か一緒にできればと思っていたんです。

―それが、今回の多摩1キロフェス参加に繋がったと。

ウォーリー このフェスティバルは、パルテノン多摩という劇場を中心にしつつも、劇場空間は一切使わない。町の自然や人工物、オブジェなどを使って、作品を制作してもらったり、そこに溶け込むような演劇や音楽をやってもらっています。柴くんの作品も、劇場という枠じゃないところで観たいもの。しかも柴くんは小豆島など、地方に演劇を根付かせるような活動もしているので、お知恵を借りられたらなと。これを機に、多摩1キロフェスに長い目で付き合ってもらえたら、という思いがありました。

野外だからこそできる!?
『あたらしい憲法のはなし』

―柴さんは、1キロフェスの話が来たとき、どう思われました?

 最近、小豆島や横浜での公演を通して、劇場の外で演劇をするおもしろさに目覚めていたんです。なので、まず野外というところに惹かれました。それから、しばらく都内で新作公演をやれていなかったので、この機会に、と。これまで劇場でやってきたことと、劇場外でやってきたこと。その融合みたいなことができたらいいな、と思いましたね。

―今回、公演は1時間予定。1時間というのは、柴さんにとってはどういう尺ですか。

 劇場ではお客さんを閉じ込めておけるけど、野外だと、簡単に会場を離れられる。だから劇場では長編、野外では短編をやってきたんですけど、今回は1時間の野外劇を見せなきゃいけない。これまでと違う挑戦ですね。水の中に浸かってやるのも初めてですし(笑)。

―公演タイトルは『あたらしい憲法のはなし』。見たとき、ウォーリーさんはどう思いました?

ウォーリー いくつか案をいただいたんですけど、僕は一番、これがおもしろいと思いました。というのは……上演する場所の力って、すごく作品に影響するものだと思うんですよ。でもこのタイトルは、あえて、影響し合わないようにしている感じがしたんです。だって「憲法の話を、水上ステージで」って、意味わからないじゃないですか(笑)。

 もともと『あたらしい憲法のはなし』を読んで、「これはお芝居にできそうだな」と思ってたんです。でも、劇場の中で閉鎖的にやると、ちょっと怖いイメージがある(笑)。それを今回は、野外に助けてもらおうと考えたんです。

この国の見えないルールが
水上ステージに浮かび上がる

―『あたらしい憲法のはなし』は、戦後まもなく、中学生向けの教科書として配布された本ですね。

 「こういう考え方のもとに、あたらしい憲法はできています」とわかりやすく説明した本。今回、それをお芝居にしたいと思ったのは、この内容は国のルールの話でありつつ、集団や町の話でもあると思ったから。たとえばある町に、人が集まってきますよね。最初は気ままに過ごすんだけど、人がどんどん増えるから、集団をコントロールするために、ルールを作るようになる。物事は多数決で決めよう、とか。

ウォーリー なるほど。

 でもそこで、モメたりしそうじゃないですか。「もとからいる人間と、今日来た人間が、同じ一票なのか?」って(笑)。それで、最初に町に来た人が長になって、集団を取り締まるために警察的な人も出てくるかもしれない。そうすると「隣町の方が住みやすそうだ」と引っ越す人が出てきたり、それを引き止めるためのルールができたりするかもしれない……。たとえばそんなふうに、僕らが生きているこの国のルールの成り立ち、みんなが守っている仕組みみたいなものが、目に見えるような錯覚を起こせたらと思ったんです。

ウォーリー おもしろそうですよね。柴くんがやってきた作品群の、そのまた先にあるものができそう。

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「集団に興味があるのはなぜ? 柴幸男のルーツに迫る!」

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